サッカー日本代表の活動などで約3週間中断していた明治安田生命J1リーグが再開した。中断期間中、仙台は天皇杯2回戦でJ3リーグの岩手と対戦したが、0-1で悔しい敗戦。気持ちを切り替え、やるべきことを確認して臨んだ6月20日の前節・鹿島戦は、守備意識を高く保って戦い、リーグ戦初出場となったGK22ストイシッチも再三ファインセーブを見せた。そして後半、途中出場DF5アピアタウィア久のロングフィードの処理を相手DFが誤ったところを見逃さなかったFW15西村拓真が先制ゴールを決めた。その後、鹿島の猛攻を受けるが、仙台守備陣も必死の守りを見せた。このまま試合終了かと思われたが、アディショナルタイム終盤、セットプレーから失点。1-1で悔しいドローとなったが、全力で戦った成果として勝点1を積み上げたことにより、順位は16位に浮上。ついにJ2降格圏を脱出することができた。
そして、この清水戦から、東京五輪による中断期間までの3試合は全てホームで戦う。手倉森誠監督はこの3連戦で「J1残留に向けてサポーターが確信を持てる内容と結果を示したい」と語り、非常に大事な3試合だと位置づけている。
清水は今シーズンからスペイン国籍のロティーナ監督が指揮を執る。東京VやC大阪を率いた時と同様に、コンパクトな陣形を保って守備を固め、ボールを奪った後の攻撃は立ち位置を考えながら、丁寧にビルドアップしてゴールを目指す。しかし、負傷者が多いことや、新たなスタイルの浸透がまだ十分でないことから、現在は15位。戦術の浸透を図って、巻き返しを狙っている。
得点源はFW9チアゴサンタナ。ここまで6ゴールを決めている要注意のストライカーだ。複数ポジションをこなせてC大阪ではロティーナ監督の指導を受けたDF7片山瑛一の攻撃参加にも警戒したい。守備では日本代表GK37権田修一が絶対的な存在感を誇る。さらには大分から移籍のDF50鈴木義宜がDFラインの中心だったが、6月6日のJリーグYBCルヴァンカップ鹿島戦で頭蓋骨骨折の重傷。DF2立田悠悟やDF5ヴァウドといった長身でフィジカルの強い選手がゴール前を固める。
仙台としては、ルヴァンカップで2試合とも敗戦を喫しており、順位も近い相手であり、何としてでも勝ちたい。攻撃では相手の陣形を動かすためのパスワークが必要だ。相手の背後を取れれば得点の可能性は高まる。FW20マルティノスや、MF26加藤千尋のドリブルも生きるはずだ。守備では鹿島戦同様、チーム全体で高い守備意識を持ちたい。前半に安易な形で失点しないことが重要だ。
降格圏脱出で満足せず、さらに上の順位へと飛躍するきっかけとなる試合にしよう。