NEW HERO

　勢いでチームを引っ張っていた若者は、今では様々な経験を活かしてチームを引っ張るベテランに成長している。

　2004年に当時J2の仙台でプロ生活をスタートさせた関口訓充は、このクラブでJ1昇格争いや残留争い、J1優勝争いなどを経験して成長を続けていった。スピードに乗ったドリブルで相手を振り切って決定機につなげ、チームの勝利に貢献。成長過程でドリブルには緩急がつき、高い位置からの守備も戦況に応じて効果的にしかけられるようになった。

　2013年からは浦和やC大阪でプレー。ACLの大舞台や、前より激しさを増したJ2での昇格争いで揉まれ、再びJ1でプレーするようになってからは、カップ戦のタイトル獲得にも貢献した。

　そうして、一回りも二回りも大きくなった関口は、昨季途中に仙台へ戻ってきた。パス、ドリブル、シュートの選択が素早くなり、ポジショニングも磨かれたことにより、出足の鋭さはさらに活きるようになった。

　さらに、ピッチ外での貢献も見逃せない。もともと明るい、ムードメーカータイプ。時にはうるさいくらいの声を出し、練習でもそれ以外でもチームを盛り上げる。若い選手の面倒を見ることも増えた。苦しいときこそ声を出せる存在として、今のチームを支えている。

　明治安田生命J1リーグ第31節では、貴重な先制点を記録。これが今季4点目で、J1の舞台では彼にとって年間最多得点を更新した。しかし、その貴重なゴールにも「僕は（シュートを）打っただけ。そこまでの過程での選手たちに感謝したい」と、味方を立てる。厳しい終盤戦になってもなお、彼の存在は陰に日向にチームを支えている。