明治安田生命J1リーグもおよそ3分の2のゲームを消化し、中盤戦から終盤戦へと差し掛かっている。仙台は前節、現在優勝争い中の川崎Fと対戦。これまでやってきた4-4-2フォーメーションではなく、3-5-2のフォーメーションで臨み、前半は失点を喫し劣勢だったが、後半は逆に攻勢に転じた。54分、DF13平岡康裕のロングフィードを、DFラインの背後で受けたFW38長沢駿が相手DFを振り切ってシュートを決めて同点に。さらに64分、中盤でボールを奪ったDF39金正也がドリブルで相手陣内へと駆け上がり、スルーパス。このパスをまたもDFラインの背後で受けた長沢がゴールし、逆転。その後、同点に追いつかれたが、選手全員、最後まで勝利のために走りきり、2-2で引き分け、勝点1を手にした。勝利には届かなかったが、7試合ぶりにFWが得点し、上位チーム相手に一度はリードを奪い、4バックでも3バックでも戦えることを示し、今後に向けて明るい材料は多かった。FW19ジャーメイン良やFW20阿部拓馬など負傷者も続々と復帰しており、ここから着実に勝点を積み重ねていきたい。
今節の対戦相手は湘南。湘南は活動量豊富でパワフルなサッカーを仕掛ける湘南スタイルを長年かけて築き上げている。5月から6月にかけて5連敗を喫した時期もあったが、その後は、いずれも複数得点と攻撃力を武器にチーム状態が安定してきた。
攻撃陣は、チーム最多の5ゴールを挙げていたFW武富孝介が期限付き移籍を終了し浦和に復帰。武富に次ぐ4ゴールを挙げているFW11山﨑凌吾が攻撃の核となる。187cmの長身を生かしたヘディングとパワーが武器で、7月以降、3ゴールと好調だ。また右ウイングバックのMF50古林将太は昨シーズンまで約1年半、仙台でプレーした。精度の高いクロスボールを上げられるのが特長で、前節はゴールも決めている。左ウイングバックのDF5杉岡大暉は市立船橋高出身で、仙台MF5椎橋慧也の1年後輩。東京五輪を目指すU-22日本代表にも選出経験豊富で、コパ・アメリカでは日本代表に初招集された。対人守備能力が高いだけでなく、攻撃にも積極的に絡める。
仙台としては湘南の攻守の圧力に屈しないことが重要だ。相手が食いついてきたら、背後のスペースを丁寧に突いていけば良い。前節2ゴールを挙げた長沢には当然期待がかかるが、献身的に攻守に働くFW11石原直樹や、復帰戦となった天皇杯3回戦富山戦でゴールを決めたジャーメインにもゴールの期待がかかる。守備では古林や杉岡の精度の高いクロスボールをDF23シマオ・マテや平岡がはね返していきたい。
湘南の攻撃の勢いや球際の強さは脅威だが、相手の勢いも利用しながら賢く、激しく戦い、8月最後のホームゲーム、必ず勝利で締めくくろう。