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MF 30 田中 渉 Wataru TANAKA

2000年9月23日生まれ 169cm/59kg 群馬県出身
FC尾島ジュニア→前橋SCジュニアユース→桐生第一高校→ベガルタ仙台(2019年加入)

決定機を演出する、
若きレフティー。

 アディショナルタイムを含めても、約4分間。しかし、その短い間も、田中渉にとっては大きな第一歩だった。4月10日のJリーグYBCルヴァンカップグループステージ第3節・柏戦で、田中は90分に梁勇基と代わってピッチに入り、試合終了までプレー。これが彼にとっての、プロ公式戦デビューだった。

 憧れてきた舞台だった。桐生第一高校在籍時の昨年に、仙台の練習に参加。トップチームの試合をユアテックスタジアム仙台で見て、チームの戦い方には勿論、スタジアムの雰囲気にも心を動かされたという。「自分もそのピッチで活躍したい、という思いが強くなりました」。それが、仙台加入の決め手となった。

 足下の技術が高く、特に左足から繰り出すキックは多彩。中盤の底から味方を動かすパスを出したと思えば、細かいタッチで自らボールを持ち運ぶこともできる。2列目でも3列目でも、決定機につながるプレーをできるのが、田中の持ち味だ。

 だが、プロとしてピッチに立つまでには、クリアすべきものもまだまだ多いと自覚している。たとえば3月6日のルヴァンカップ第1節・鳥栖戦では、ピッチ上の戦いをベンチから見て「自分はまだフィジカルがない。判断が少しでも遅いとつぶされてしまいます」と感じたという。

 少しずつ自らを高め、まず一歩を踏み出したのが柏戦だった。「憧れの舞台でもあったので嬉しい気持ちもあったのですが、まだあの時間しか出られないのが自分の実力。もっと努力して、90分間出られるようになりたい」と、次を見据える。田中の挑戦は、まだ始まったばかりだ。