明治安田生命J1リーグも残すところ2試合となった。仙台はリーグ戦5試合勝利が無く、渡邉晋監督も「ここへ来てまた辛抱するタイミングが来た」と語ったが、その辛抱が前節の広島戦では結実した。MF34椎橋慧也のサイドチェンジのボールを受けたMF23中野嘉大からのクロスを、FW37ハモンロペスが落としてFW11石原直樹が押し込む。仙台らしい良い立ち位置を取り、ピッチを広く使った狙い通りの形での美しい形のゴールが決まった。守備陣も日本代表GK1シュミットダニエルが再三好守を見せ、広島の反撃を防いで1-0で勝利。自信を取り戻す大きな勝点3となった。
そして残り2試合、連勝すればチームの目標である「トップ5」を達成する可能性を残している。来月の天皇杯優勝を成し遂げるため、チームを勢いづけるには勝利が必要だ。今節のホーム最終戦の鹿島戦は何が何でも勝ちたい。
鹿島はリーグ後半戦で調子を上げて、現在3位。優勝こそならなかったが、来シーズンのACL出場権獲得に向けても残り2試合は大事な戦いとなる。そして何よりクラブとしては初のタイトルとなるACL優勝を達成したばかり。前回、5月の対戦では2-1と快勝できたが、その時とはコーチ陣も選手も入れ替わってチーム状況が上向いているので、簡単な試合にはならないだろう。
チームを牽引するFW9鈴木優磨は今シーズン、リーグ戦で11ゴールを挙げており、エースストライカーへと成長した。日本代表にも初招集されていたが、10日に行われたACL決勝第2戦ペルセポリス戦で右足を捻挫し、代表招集は辞退。全治2週間ということで今節の出場は微妙だ。しかし日本代表ボランチMF20三竿健斗など高い個人技を持つ選手が揃っており、どんなメンバーで来ても脅威であろう。
そして、今シーズンの鹿島は若手の台頭が目覚ましい。高卒2年目でコンスタントに出場を重ねているFW30安部裕葵、前節の柏戦で今シーズン、2ゴール目を決めたDF28町田浩樹、第31節・C大阪戦でリーグ戦初ゴールを決めたDF23小田逸稀、プロ4年目でリーグ戦、初出場初先発を果たしたMF26久保田和音、阪南大から加入の大卒ルーキーで前節の柏戦でリーグ戦初ゴールを決めたFW19山口一真。こうしたフレッシュな戦力が機能し始めたことでチーム力は大きく向上している。
鹿島は21日に天皇杯準々決勝甲府戦を戦い、中2日で挑む試合のため、どんなメンバーで来るかは分からないが、まずは仙台らしく良い立ち位置を取るサッカーを見せたい。そしてシーズン終盤高めてきた精度の高い縦パスからの流れるような攻撃が生まれれば、鹿島守備陣に脅威を与えていける。
仙台がこの1年磨き上げた「真」の力が問われる一戦。全ての選手の力を結集し、サポーターの大声援による後押しで、必ず勝利をつかみ取ろう。