明治安田生命J1リーグはいよいよ残り5試合。前節・浦和戦はトップ5という目標達成に向けて、絶対負けられない試合だった。前半苦しい時間帯が続き、先制を許したが、MF16野津田岳人のフリーキックからU-21日本代表DF6板倉滉のヘディングシュートで同点に追いついた。後半は多くの決定機をつくったが、あと一歩でゴールを奪えず、1-1の引き分け。勝点3こそ取れなかったが、浦和と勝点42で並んでの7位となり、5位札幌まで勝点2差、ACL圏内となる3位鹿島とも勝点4差。残り試合全勝すれば、トップ5という目標達成だけでなくACL出場も見えてくる。
大事な今節は鳥栖との対戦となる。鳥栖はこの夏、大量補強を敢行し、元スペイン代表FW9フェルナンドトーレス、鹿島からFW44金崎夢生を獲得。上位進出を図ったが、思うように勝点を伸ばすことができず、現在勝点30で17位とJ2降格圏を抜け出せない。
この苦境から脱するため、マッシモフィッカデンティ監督に代わり、金明輝コーチが今節からチームの指揮を執ると発表した。金コーチは鳥栖U-18監督を兼務していたが、7月末の日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準々決勝で大宮ユースに敗れるまでは今シーズンの公式戦全勝という快挙を成し遂げ、プリンスリーグ九州は16戦を終えて15勝1分けと圧倒的な強さを見せて既に優勝を決めている。縦に速く勢いのあるサッカーは九州だけでなく全国大会でも猛威を振るった。金コーチがトップチームでも同じようなサッカーを展開するかどうかは分からないが、明るいパーソナリティを生かし、雰囲気を変えようとしてくるのは間違いない。
トーレスと金崎の破壊力に注目が集まるチームだが、横浜FMやベルギーリーグでも活躍したFW40小野裕二やFC東京、神戸でプレーしたボランチMF36高橋秀人など中盤の個々の能力も非常に高く、侮れない相手だ。
鳥栖は指揮官が変わるため、どういう戦いを仕掛けて来るかは分からない。仙台としては鳥栖の出方を必要以上に考え過ぎず、攻守に良い立ち位置を取り続けてゴールを目指していく、長い期間かけて積み上げたスタイルを存分に見せたい。前節先発出場を果たして活躍したベテランMF10梁勇基や、MF34椎橋慧也、そして前節、プレースキックをゴールに結びつけた野津田ら中盤の選手が攻守にバランスを取りながら戦えれば、勝利は近づく。日本代表から戻ったGK1シュミットダニエルの好セーブと、攻撃につながるパス、スローイング、ロングキックにも期待したい。
鳥栖の個の能力と指揮官交代は脅威ではあるが、仙台が積み上げたスタイルを「信」じて戦い、勝利をつかみ取ろう。