明治安田生命J1リーグトップ5を目指し戦う仙台。前回のホーム戦、第26節・FC東京戦は苦しい時間帯も粘り強く戦い、後半FW20阿部拓馬のクロスボールが相手選手に当たってオウンゴールとなって先制。その後は落ち着いてゲームをコントロールし、守備では日本代表での活動から戻ったばかりのGK1シュミットダニエルが安定したシュートストップを見せてピンチを防ぎ、1-0で勝利を挙げた。
しかし、その後のアウェイ2連戦は苦しんだ。第27節・長崎戦は丁寧に相手の嫌な立ち位置を取って決定機をつくったがゴールを決められず、後半ミスから失点。終盤の猛攻も実らず0-1で敗れた。前節・横浜FM戦は相手のプレッシャーの速さに苦しみ5失点。終盤横浜FMと相性の良いFW19ジャーメイン良が今シーズン2得点目となるPKを決めたが2-5で敗れ、順位は8位となった。それでも上位は大混戦。トップ5へ上りつめることは十分に可能だ。今節は勝点で並ぶ6位浦和との大一番となる。
浦和は昨シーズン、チームをACL優勝へと導いた堀孝史前監督の下、今シーズン開幕を迎えたが、リーグ戦5試合未勝利を受け契約解除となり、元仙台ヘッドコーチの大槻毅氏が監督代行を務めた後、鹿島で5シーズン監督を務め、2007シーズンからJリーグ3連覇を達成したオリヴェイラ監督が就任した。選手の個性を生かすことによりチーム状況は大きく上向き、来シーズンのACL出場も夢ではなくなってきた。
チームを牽引するのはここまで13ゴールを挙げているFW30興梠慎三だ。鹿島時代もオリヴェイラ監督の指導を受けていた興梠は直近2試合で3ゴールと絶好調。相手DFにとって嫌な立ち位置を常に取り、したたかに一瞬の隙を突いてゴールを狙うベテランストライカーは最も警戒すべき存在だ。そして、最近調子を上げているのは元仙台FW9武藤雄樹。ゴール感覚が蘇り、第26節・横浜FM戦、第27節・神戸戦で連続ゴール。ディフェンスラインの背後を突くプレーには要注意だ。ここ2試合、連続ゴール中のMF15長澤和輝の中盤からの飛び出しも防がねばならない。守備でもGK1西川周作や、DF5槙野智章など日本代表経験豊富な選手が揃っており、個の能力は高い。
仙台は簡単に浦和のカウンター攻撃を許してはいけないので、前節・横浜FM戦の反省も生かしながらチーム全体で高い守備意識で臨みたい。そしてボールを奪ってから次のパスを効果的につなげられるよう、攻撃に転じてからの立ち位置の取り方に注意したい。3人のキャプテンMF17富田晋伍、MF7奥埜博亮、DF27大岩一貴は90分間難しい舵取りを強いられるが、常に良い攻撃につなげることを考えて戦う必要がある。
3連勝中の浦和は間違いなく強敵だが、仙台もこれまで攻守に良い立ち位置を取り続け、積極的にゴールを狙うサッカーを作り上げてきた。仙台の「真」価を発揮し、絶対に勝利しよう。