VP EYES

　仙台は8月の公式戦5連戦を4勝1敗という好成績で終えた。原動力となったのはFW西村拓真だった。巧みな位置取りや独特のセンスを生かし明治安田生命J1リーグ第21節・柏戦から3試合連続ゴールを決めて、日本人トップのリーグ戦11得点をマーク。日本を代表するFWへと成長が期待されていた。

　そんな中、西村のロシア・CSKAモスクワへの移籍が急転直下で決定した。ここまで得点を量産してきた成長著しいストライカーの離脱は当然仙台にとっては痛手だ。しかしヨーロッパの名門クラブから獲得の声がかかる選手を育てられたことは、仙台にとっても名誉なことである。これまでの西村の仙台への尽力に感謝し、ロシアでの活躍を心より願っている。

　西村はチームを離れるが、FW11石原直樹やFW19ジャーメイン良は天皇杯4回戦・横浜FM戦でゴールを決めるなど攻撃陣は好調をキープしている。彼らの勢いも借りて、今節、清水に勝利したい。

　清水は今シーズン、昨シーズン広島を率いたヤンヨンソン監督が就任し、強固な守備から鋭いカウンターを仕掛ける手堅いサッカーを展開してきた。W杯中断後、さらなる得点力向上のために加入したのが、徳島、広島などで活躍した経験を持つFW49ドウグラスだ。デビュー戦となった第17節・G大阪戦で途中出場しゴールを挙げ、その後もハイペースで得点しており非常に好調。カウンターでも周囲とのコンビネーションでもゴールを決められる万能型ストライカーだ。そして昨シーズン仙台で活躍したFW20クリスランも要注意だ。クロスに対して点で合わせる動きが得意なのは、仙台サポーターもおなじみのことだろう。また、活動量豊富なFW23北川航也やFW30金子翔太にも警戒したい。

　守備陣を統率する不動の守護神はかつて仙台でも活躍したGK13六反勇治と、広島や鹿島で存在感を発揮したファンソッコ。DF4フレイレと共に、ハイボールの競り合いやフィジカルコンタクトの強さが特長だ。

　仙台としてはこの守備陣をさまざまな形で揺さぶり、空いたスペースを使ってゴールを狙う形を狙いたい。サイドからのクロス、中央からのコンビネーション、またFW41ハーフナーマイクを起用して敢えて高さ勝負を挑むのも面白いだろう。バリエーション豊かな攻撃で清水守備陣の隙を突きたい。しかし、清水の攻撃陣は好調なので、リスクマネジメントも重要となる。守備の原理原則を忘れず、相手に簡単にゴールに向かわせないよう注意したい。

　「新」天地へと羽ばたく西村へはなむけとなるよう、チームの総力を結集して必ず勝利しよう。