NEW HERO

　不屈の人・椎橋慧也は、大きな試練に見舞われてもそれを乗り越え、自身の成長の糧にしている。

　椎橋にとって、プロ2年目は大きなシーズンだった。ルーキーイヤーにケガで苦しんでいたが、地道なリハビリが実り、2017シーズンは開幕前から周囲と同じスタートラインに立つ。そしてJリーグYBCルヴァンカップグループステージ第3節でプロ初出場を果たし、しかもこの試合でセットプレーからプロ初得点も記録。明治安田生命J1リーグ戦でも出場機会をつかみ、主に最終ラインの一角として経験を積んだ。しかしルヴァンカップ準決勝・川崎F戦の第1戦で負傷し、無念の長期離脱となった。

　今季の椎橋はケガから復帰し、さらにスケールアップさせた姿を見せる。ルヴァンカップグループステージ第2節・横浜FM戦では、前半のうちに退場者を出し、チームが攻めこまれる苦しい時間を長く過ごした。「特に常田と『これを（失点）ゼロで抑えたら意味が有るから、集中しておさえよう。あとは前（のポジションの選手）を信じて』という話をしていました」と本人が振り返ったように、堅い守備というプレー自体は勿論、味方を鼓舞する声でも、存在感を発揮。無失点で試合を終えることに貢献した。

　出場した試合では堅実な守備を見せていた椎橋だが、J1第16節では横浜FMを相手に大量失点を喫し、自身もミスが多く早期に交代を余儀なくされた。しかし打ちのめされたままで終わらず、次のチャンスをつかむ。第21節・柏戦ではスコアが2-0となった直後に投入される。渡邉監督は椎橋に、クローザー、つまり試合を締めくくる者としての役割を期待。椎橋もそれに応えた。「疲れている選手もいる中、周りを鼓舞しながら守りました」。相手の強烈なシュートも、コースに入ってブロックし、無失点勝利に貢献した。

　充実の結果にも「上を目指すにはゼロで終えないといけないので、これを続けたい」と満足はしていない。これから先も成長を続け、椎橋は仙台の引き締め役となる。