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MF 23 中野 嘉大 Yoshihiro NAKANO

1993年2月24日生まれ 176cm / 66kg 鹿児島県出身
パルティーダ鹿児島U-12→パルティーダ鹿児島U-15→佐賀東高→筑波大→川崎フロンターレ→ベガルタ仙台(2017年加入)

勇敢なドリブルで、
ユアスタを沸かせるMF。

 「サポーターの方々に期待されているのは、けがをしていたときから感じていました。その期待に、早く応えたい」

 明治安田生命J1リーグ第12節・横浜FM戦を終えて、中野嘉大はその心境を口にした。

 この試合が彼にとって、ベガルタ仙台の一員としてプレーした最初の公式戦だった。本人は「消化不良で終わってしまった」と反省の弁が先立ったが、新天地で踏み出した確かな一歩だった。

 川崎Fで2シーズンを過ごし、攻撃に変化を加える存在として台頭。しかし、優勝争いをするチームの中で「自分自身としては、持ち味を出せていなかった」と感じ、仙台での挑戦を決意した。覚悟を決めてのぞんだ今季は、キャンプ中に戦術理解に努めて、練習試合でもゴールやアシストといった結果を残してアピール。開幕戦に向けて、調子を上げていたところだった。

 しかしJ1開幕を前にした2月18日の練習試合で大けがを負ったことで、彼の“仙台デビュー”は先に延びることとなった。「出るだけでなく、出て結果を残せるようにならないと」。リハビリ中は、危機感の方が大きかったという。そして5月15日の練習試合でついに実戦復帰し、30分間プレーした。

 この試合の自己評価も、厳しいものだった。「攻守両方で、もっとやらなければいけなかった。また紅白戦でレベルを上げたい」として、続く週の練習では急ピッチでコンディションを上げ、実戦レベルのプレーを披露。横浜FM戦のメンバーに食いこんだ。

 横浜FM戦では1点を追っていた69分に投入され、ゴールにからむことが期待された。中野の最大の武器は、相手守備陣が対応する前に抜き去るドリブル。絶妙な間合いで、タックルをかわす。この試合では少ない時間ながら、ボールを持つと相手DFの判断を迷わせ、味方が攻め上がる時間も作った。しかし本人が「結果を残さなければいけなかった」と悔やみ、渡邉監督も「あんなものではない」と評したように、キャンプの練習試合で敵を振り回したときのような中野の姿が見られるのは、これからといえる。

 思わぬかたちで回り道となってしまったが、中野は仙台の一員としてプレーする舞台に立った。あとは、その歩みを加速していくだけだ。そのドリブルで、フィニッシュで、何度でも仙台サポーターを沸かせてほしい。