NEW HERO

　研究熱心な選手だ。自らのプレーを伸ばし、同じミスを繰り返さないために学習し、プレーの幅を広げている。

　蜂須賀孝治がJFA・Jリーグ特別指定選手を経て2013年に加入したときは、当時チームが採用していた4バックのサイドバックとして、粘り強い守備や豊富な運動量を武器にしていた。それらは今も蜂須賀のストロングポイントであり続けているが、彼は経験を重ねる中で、そこに新たな武器を増やし続けている。

　仙台が年々、相手陣内でのプレーを増やす中で、蜂須賀は左右両足のクロスを磨いたり、相手の意表を突くタイミングでのドリブルをしかけたりという努力を続けてきた。

　今季、チームは3-4-2-1を基本として攻撃を組み立てる。蜂須賀はウイングバックと呼ばれるサイドのMFを務めることになった。スタート位置は以前より高く、カバーすべき前後のスペースも大きくなった。この挑戦にも、蜂須賀は前向きに取り組んでいる。

　「縦、縦としかけてばかりだと、相手も警戒してくる。変化をつけられるようにならないと」と、ボールを運ぶ動きにも工夫を加えた。しかも、周囲の選手の特長を生かせるように。たとえばJリーグYBCルヴァンカップ第4節・大宮戦では、佐々木とともに右サイドから何度も相手の守備を崩した。J1リーグ第14節・甲府戦では、左の永戸とともに様々なクロスを送って相手を揺さぶった。この試合の3点目は、蜂須賀も加わった右サイドのコンビネーションから生まれている。

　「クロスについていえば、30%くらいの成功率しか今は無くても、それを35にでも40にでも、少しでも上げること。そして本数を増やすことで、どれか一つでも点に結びつけたい。一つ失敗したからもうやらない、じゃなくて、得点につながるまでチャンスを作り続けます」。彼の成長は、その積極的なトライとともにある。