2016 トップチーム, 2016 トップ 練習風景, 2016シーズン
さわやかな秋晴れ、さわやかな髪型。
「石、髪切ったな」と声をかければ、「はい、切りましたよ」と、笑みを浮かべた石川選手が颯爽(さっそう)と目の前を横切った。
表情や受け答えを注視すると選手の微妙な変化にも気づくときがある。
しばらく離脱していた石川選手だったが、けがが完治した様子で、充実した顔つきからコンディションは上々と読んだ。
フットボールランニングのなかで、さりげなくボールを扱うだけなのに類いまれなセンスを感じさせ、卓越したテクニックを披露する野沢選手もピッチに戻ってきた。
強い浮き球パスを、いとも簡単に右足アウトサイドで正確に蹴り返す。
彼にとっては極めて当たり前のことなのだろうが、 同じことができたらサッカーを心の底から楽しいと思うことができることだろう。
そんな特別がある。
80パーセント以上のスピードで走るメニューでハモン選手からは唯一無二の迫力を感じた。
鍛えられた肉体が、放たれた弾丸のように一直線に正面から向かってくるよう。
DFとなって阻止することが役割だとしたら、正直ひるむ。
来日当初は出番に恵まれず、全体トレーニング後にシュート練習を繰り返しながら、決して腐ることはなかった。
主力として活躍している今シーズン、J1リーグでクラブ至上初のハットトリックを成し遂げるなど、努力が報われつつある。
さらに今後は、数多く在籍した助っ人のなかでも記憶に残る活躍が望まれている。
どんなに苦しくても歯を食いしばって勇敢に戦うのは富田選手。
身を投げ出して攻撃の芽を摘み、 常に献身的にチームプレーに徹する。
両手を叩きながら仲間を鼓舞する姿は、キャプテンの代名詞となっている。
本領を発揮すれば攻撃にも参加し、パンチ力あるキックでミドルシュートを決める。
久しく見ていないガッツポーズが出ることを、多くのサポーターが期待していることだろう。
けがで出遅れた菅井選手だったが、シーズン後半戦から存在感を示しつつある。
ベテランになった今も衰えない走力と、体を張った全力プレー。
無口でシャイだが、決めたらやり切る芯の強さを兼ね備える。
「なんでそこにいるんだ攻撃」の意味は、迷うことなく、思い切った決断をすること、と言っても過言ではないくらい異種独特の才能である。
今シーズンも残り3試合。
それぞれが秘める特別を、チームとしての力を、強いベガルタを見せてほしい。
いつもやれると信じてきた。
ホームスタジアム、ユアスタでの試合は2試合。
最後はみんなで笑いたい。