2020 マイナビ 皇后杯, 2020 マイナビ, マイナビベガルタ仙台レディース
12月20日(日)ユアテックスタジアム仙台にておこなわれた皇后杯 JFA 第42回全日本女子サッカー選手権大会 準々決勝 セレッソ大阪堺レディース戦の試合模様、監督・選手コメントをお届けします。
雪が舞う中での準々決勝となりましたが、多くのサポーターのみなさんにご来場いただき、チームを後押ししていただきました。
試合は開始早々から動きます。前半1分、左サイドからパスを受けた浜田選手が相手GKの位置を冷静に見極めて放ったシュートがゴールラインを割り、先制に成功。続く25分には相手DFのクリアミスをペナルティーエリア内で拾い、ゴール上に蹴り込み、前半を2-0で終えます。
しかし、後半に入ると流れは相手ペースに。ボールを握られ、攻撃の主導権を渡す苦しい展開に。後半20分、37分に立て続けに得点を許し、試合は延長戦へ。
延長に入り、更に相手に得点を与え2-3と苦しい展開になるも、延長後半6分に有町選手がゴール前の密集の中、左足を振りぬき試合を振り出しに戻します。
互いに120分では決着がつかず、試合はPK戦へ。キッカーを務めた5人が独特の緊張感が漂う中、冷静にゴールへと流し込み、5-3で勝利。4年ぶりとなる準決勝へコマを進めました。
<辛島啓珠監督>
◆試合総括
立ち上がりに先制点を取り、良い流れの中で追加点を奪い、前半を2-0で終えたのは良かったと思いますが、後半に入り、試合を通して守備の時間が長かった分、徐々に足が止まりはじめた印象でした。
1点を奪われ、さらに追いつかれ、状況としては危なく、90分だけの結果を見ると我々は助かったのかなと。相手にボールを握られ、(後半に)相手に3点目を与えてもおかしくはないシーンが続いていました。さらに、延長に入り相手に勝ち越され、点を取りに行くしかない状況の中で、交代で入った選手たちが上手く自身の力を発揮してくれました。延長後半に有町のゴールで追いつき、2試合連続のPK戦で5人連続で決め切り、準決勝に駒を進めることができたのは良かったと思います。
(準決勝は)日テレとの対戦を控えている中で、24日まで日は短いですがしっかりとリカバリーをして、できるだけ良い状態で京都に移動し、決勝進出を目指したいと思います。
◆スタート時のフォーメーションが4-2-3-1のようにみえました。狙いを教えてください
4-4-2ですと3ライン(DF・MF・FWそれぞれのライン)の間のスペースを相手に上手く使われてしまう可能性がありました。相手は3-4-3で臨んでくることは事前に分かっていましたので、中盤をもう1人増やすことで我々のファーストディフェンダーを明確化させる狙いでした。
なでしこリーグのアウェー・ジェフL戦で、3バックの相手に対し、4-2-3-1が機能していたこともあり準々決勝に臨むにあたり、様々なことを考えたうえで、この布陣で試合に入りました。
トップ下の佐藤瑞については、彼女が自由に動きボールに絡むことによって、前線でボールが落ち着く回数も増えていたと思います。途中で交代はしましたが、十分なパフォーマンスでしたね。
◆攻撃面において、どのような狙いをもって今日の試合に臨みましたか
相手が守備の時に5バックになったとき、(相手の)サイドの選手をいかにつり出して、サイドの選手と3バックの間に生まれるスペースを突けるかが大きな狙いでした。その点においては、自陣でのビルドアップの段階で、万屋・奥川のサイドバックが良いポジション取りをして、相手を引き出してくれました。また、浜田を基点とした
シンプルなサイド攻撃も狙っていこうと指示をしました。
<浜田遥選手>
◆“ベガルタ”として最後の皇后杯に臨むにあたり、選手間で話をしたこと、個人として意識していることを教えてください
今日の試合に関しては“ベガルタ”の名を背負って戦う最後のユアスタでの試合でしたし、引退を表明されたお二人と、安本選手・坂井選手と共にこの会場でプレーできるのも最後と分かっていましたので、今まで以上に貪欲に勝利を目指して戦いました。
◆開始早々、25分に挙げた得点の振り返りをお願いします
(1点目は)フリーの状態でボールを持ち、相手GKの位置も見ながら、しっかりと打つことができました。2点目に関しては、思い切り振りぬけたと思います。
◆PK戦で相手が外した後のキッカーを務めた浜田選手。どのような心境でしたか
延長後半に獲得したPKを外し、PK戦になってしまったので、とても責任を感じていました。ですが、あの場面で蹴ることを仮に避けていたとしたら、一生引きずるとも自分では分かっていました。(延長後半時と)同じコースを蹴るか、違うコースに蹴るか。自分では決めきれないほど緊張していたこともあり蹴る前に安本選手に相談しました。「紗和子さんだったらどうしますか?」と聞き、「私なら(コースを)変える」と言っていただいたので
コースを変え、ゴールに蹴り込みました。
◆サポーターの応援や横断幕でのエールもありました
選手・スタッフ・サポーターが“優勝”という目標に向かいまとまっていると思います。結果として、タイトルを取りたいという気持ちが更に強くなりました。
<有町紗央里選手>
◆試合総括
前半に2点決めて、優位に試合を進められる状況であった中で、後半に入り相手のペースにのまれた印象でした。
2点追いつかれた時のダメージはそれなりにありましたし、相手も勢いにのっていたので全体としては難しい試合運びでしたが、結果として勝ち切れたことが良かったと思います。
◆今大会に臨むにあたり、チーム・個人として意識していることを教えてください
前回のS世田谷戦は試合開始からエンジンが掛かっていなかったといいますか、それぞれのポテンシャルを出し切れていない印象でした。勝つことはできましたが、課題も残る試合だったと私個人として思っていました。いつもなら、それを各選手に対して口で伝えるというのはしてこなかったのですが、私も今季限りで引退しますし、思っていることは伝えようと。試合でがんばっているのはもちろん分かりますが、出場するのであれば、試合に出られない選手の分も戦ってほしいと。それをプレッシャーとして感じるのではなく、みんなが一丸となって戦い、しっかりとピッチで表現していこうと伝えました。
◆2-3の状況で延長後半に有町選手のゴールで同点に追いつきました。ゴールシーンを振り返ってみてください
相手の勢いももちろんありましたが、みんなでゴールを向かう中で、まずは同点に追いつこうと全員が共通理解を持っていたと思います。万屋選手から良いボールがゴール前に送られ、船木選手がスルーし、私のもとに(ボールが)流れてきました。良い形でボールを収めることができたので、左足を振りぬくだけでした。
◆PK戦のラストキッカーを務めた有町選手。どのような思いで臨みましたか
絶対に準決勝へ行こう!と全員が思っていましたので、決めれば勝つというプレッシャーはもちろんありました。
ですが、2試合連続でPK戦でしたので、前回ほど緊張せずに臨めました。
◆今回もたくさんのサポーターが駆けつけてくれました。後押しはどのように届きましたか
天候の悪い中、たくさんの方々にご来場いただきました。私にとっても最後のユアスタで、みなさんの前でプレーできる喜びと幸せに満ちていました。感謝の気持ちを勝利でお返ししたいと思っていましたし、勝てたことが何より嬉しいです。
<小野瞳選手>
◆試合総括
全体的に身体を張り、なおかつ、パスを繋いでゴールに迫っている様子でした。(ベンチにいても)全員の気持ちがとても伝わりましたね。
後半、相手がボールを保持する時間が段々と増して、サイドへの揺さぶりでスペースが空き始めた印象でした。
そのスペースを埋めながら、ケアしようとピッチに入りました。(実際にピッチに入ると)思っていたよりも相手に上手くスペースを作らせてしまっていたので、修正に苦労しました。投入時には2-1とリードしている中で、結果としてそこから2点を与えてしまったので、流れを相手に与えたことが悔しいです。