第98回天皇杯全日本サッカー選手権大会 決勝 浦和レッズ
第98回天皇杯全日本サッカー選手権大会 決勝 浦和レッズ
2018年12月9日(日)18:04 埼玉スタジアム2002
入場者数 | 50,978人 | 天候 | 晴、弱風 | 気温 | 6.0℃ |
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湿度 | 40℃ | ピッチ | 全面良芝、乾燥 | 時間 | 90分 |
主審 | 山本 雄大 | 副審 | 八木 あかね/唐紙 学志 |
浦和レッズ | 1 | 1 前半 0 0 後半 0 |
0 | ベガルタ仙台 |
ポジション | 番号 | 選手 | 選手 | 番号 | ポジション | |
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GK | 1 | 西川 周作 | 先発 | シュミット ダニエル | 1 | GK |
DF | 31 | 岩波 拓也 | 平岡 康裕 | 13 | DF | |
DF | 22 | 阿部 勇樹 | 大岩 一貴 | 27 | DF | |
DF | 5 | 槙野 智章 | 板倉 滉 | 6 | DF | |
MF | 27 | 橋岡 大樹 | 椎橋 慧也 | 34 | MF | |
MF | 16 | 青木 拓矢 | 奥埜 博亮 | 7 | MF | |
MF | 3 | 宇賀神 友弥 | 古林 将太 | 29 | MF | |
MF | 15 | 長澤 和輝 | 中野 嘉大 | 23 | MF | |
MF | 10 | 柏木 陽介 | 野津田 岳人 | 16 | FW | |
FW | 9 | 武藤 雄樹 | ジャーメイン 良 | 19 | FW | |
FW | 30 | 興梠 慎三 | 石原 直樹 | 11 | FW | |
GK | 28 | 福島 春樹 | 控え | 関 憲太郎 | 21 | GK |
DF | 26 | 荻原 拓也 | 永戸 勝也 | 2 | DF | |
DF | 46 | 森脇 良太 | 梁 勇基 | 10 | MF | |
MF | 29 | 柴戸 海 | 矢島 慎也 | 15 | MF | |
FW | 19 | アンドリュー ナバウト | 富田 晋伍 | 17 | MF | |
FW | 20 | 李 忠成 | 関口 訓充 | 40 | MF | |
FW | 21 | ズラタン | 阿部 拓馬 | 20 | FW |
試合経過(得点、選手交代、警告、退場) | ||
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3 宇賀神 友弥 | 13分[得点] | |
34分[警告] | ■ 6 板倉 滉 | |
10 柏木 陽介 → 29 柴戸 海 | 62分[交代] | |
67分[交代] | 29 古林 将太 → 40 関口 訓充 | |
67分[交代] | 19 ジャーメイン 良 → 20 阿部 拓馬 | |
80分[交代] | 34 椎橋 慧也 → 15 矢島 慎也 | |
9 武藤 雄樹 → 20 李 忠成 | 84分[交代] | |
■ 15 長澤 和輝 | 89分[警告] | |
89分[警告] | ■ 13 平岡 康裕 | |
30 興梠 慎三 → 21 ズラタン | 90+5分[交代] |
後半 | 前半 | 計 | 計 | 前半 | 後半 | |
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2 | 5 | 7 | シュート | 16 | 6 | 10 |
1 | 3 | 4 | CK | 6 | 3 | 3 |
4 | 12 | 16 | FK | 19 | 7 | 12 |
0 | 1 | 1 | オフサイド | 3 | 1 | 2 |
0 | 0 | 0 | PK | 0 | 0 | 0 |
まずは、かなりアウェーの埼玉スタジアムを覚悟して東京のホテルから乗りこんだのですけれども、どアウェーの「ど」が取れるくらいのアウェー感を作ってくれた大勢の仙台のサポーターに、まず感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。素晴らしいサポーターの力で、今日の90分間は選手が、連戦の中でしたけれども、非常にタフに、最後まで走り切ってくれたと思います。
スコアを動かされるとしたらリスタートか、我々のボールの失い方が悪くてカウンターを食らうか、どちらかだろうというような予測は立てていました。実際に、宇賀神選手のスーパーゴールが決まってしまって、先にスコアを動かされてしまい、非常に難しい展開にはなったのですが、その後はしっかり我々が、ボールを動かして、相手を動かして、意図的に相手のボックスに迫るというものを表現できたと思います。
やはり、最後の一押しというところが、なかなか今日は我々のゴールというかたちに結びつくことができませんでした。
結果が全てなので、史上初めてクラブとしては決勝に進出したこの大会でしたけれども、やはり最後にこういうかたちで終われば非常に悔しさが残りますし、準決勝を突破した喜びよりも、数百倍、数万倍悔しいということを、今日はあらためて……あらためて、ではないですね、初めて感じました。
この悔しさを持って、また選手一人ひとり、また我々チーム全体として進んでいかなければいけませんし、一方で、下を向かずに、しっかりと顔を上げて仙台に帰って、明日また最後の行事がありますから、そこでまた仙台のみなさんにお目にかかれればと思います。一年間、本当にありがとうございました。
■前半から椎橋選手がちょっと下がって、4バックのようになってビルドアップしているように見えました。その狙いと効果、特に攻撃面で相手にギャップを作る効果があったと思いますが、いかがでしょうか。
前回の山形戦も、最初の立ち位置が3-4-3でしたけれども、そこをずらして後ろを4枚にするようなかたちを取りました。リーグ(戦)の中でも、たとえば(明治安田J1第27節)長崎戦でもそのようなかたちをやりましたし、別に我々にとっては何かイレギュラーなかたちではありません。
浦和さんの守備の狙いを考えた時に、そこで立ち位置をずらすというよりは、あえてそこを食いつかせて背中を取っていく作業をしたいというような考えで、今日のような攻撃体勢を取りました。
実際、青木選手が我々の1枚の中盤のアンカーに食いついてくれれば、その背中が空くと。ジャメ(ジャーメイン)のところで足下におさまれば、我々が潜っていって数的優位を作れると。そういう絵を描いていました。最初はどうしてもそこのところのおさまりが悪かったので、ちょっとボールを失う回数も多かったのですが、まずはジャメが背後を取るという動きから、足下のスペースをしっかり探せてから、意図的に押しこめたと思います。狙いとしては、そういう部分です。
あとはそこからどうやってプラスワンを作っていくのかという作業を、サイド、あるいは中央で、期待してやりました。大方、全体像としては良くできたと思っています。
■天皇杯は仙台は昨年と一昨年は初戦で負けていたところから、今年に決勝の舞台まで来たわけですが、この決勝の舞台まで来たことについて、チームの成長や今後につながる部分をどう感じていますか。
去年はホームで非常に辛い負けをしたので、それをよく今思い出させてくれたなと。
日本の中で、レギュレーションとして3つの大きな大会があって、その3つの大会を、それぞれ目標を設定して、常に前進を考えてきました。
もちろん、今の我々のクラブの、全体の規模だとか、いろいろなものを考えれば、3つの大会全てで我々が達成できるのか、タイトルを取れるのかといえば、それは難しいと思います。
でもやはりそれぞれの大会の目標をしっかり定めて、それをやはりひとつでも多く達成していく、そういうものを選手たちとしっかり共有して、今年一年、特に進んできたつもりです。
この天皇杯のゲームというのは、(明治安田J1)リーグ戦の合間によくあって、勿論メンバーを変えながらいろいろやり繰りしなければいけない面もあったのですけれども、逆に言うとまさにそういうときには、チームの総合力が問われると。そういうことを考えると、数多くの選手がこの天皇杯で出場しましたから、チーム全体としての底上げには間違いなくつながりましたし、それをやりながら、クラブ初の決勝進出を達成できたというのは、大きな一歩を踏み出せたのかなと思っています。
ただし、先程も申し上げたように、みちのくダービーの準決勝を勝った喜びよりも、相当悔しいので、もうこの悔しさしかないです。ここまでこの天皇杯をよくがんばったね、というのが消え去るくらいの悔しさを味わったので、何とかそれを次に乗り越えたいなと思います。
■悔しいのは分かりますが、準優勝というのも素晴らしい成績です。就任して5年目になりますが、着実にチームが進歩していると感じます。監督から見て、このチームの進歩はどう思われますか。
正直言うと、今年は全然手応えがなかったのです。苦労した部分の方がすごく多くて、去年はリーグ戦でだんだん力がついてきたことを実感しながら、もちろんそこには理想通りの勝点には届かなかったのですが、リーグ最終節の甲府戦が終わった後に、「来年はどうなるのだろう」という楽しみが私の中ではすごく湧いていて、去年はそういう手応えを私は感じていました。
でも今年はやはり、メインのリーグ戦を考えたときには、どうしてもその手応えがなかなか得られなくて、今は危機感しかないです。ここからどうやって、もう少しレベルを上げていくのか、それを考えるときには課題が山積していて、もっともっとやらなければいけないという思いが本当にあります。
でも、そういったいろいろなものを多分選手も感じながら今日の一戦にのぞんだと思いますけれども、今日のゲームに関して言えば、今まで積み上げてきたものがたくさん表現できたと思うので、やはり怖れずに、強気でしっかりポジションを取って、相手を食いつかせて、ボールを動かして相手を動かせば、これくらいやることができるというものを、最高の舞台で表現できたと思います。
それを勝利につなげられれば、もっともっと自信も付いて、このクラブももっと大きな一歩を踏み出せるんだと思います。今年一年の苦労というものが、今日の90分で少しでも、ちょっとした成果として表れたのであれば、こんなに嬉しいことはないですし、ただしこれに満足せずに、もっともっとやらなければいけないという思いが強いです。
■様々な選手を使った中で、ジャーメイン選手が準決勝まで3ゴールを決めました。今日はなかなか結果が出せませんでしたが、この大会を通しての彼の成長や課題、見えてきた来年への可能性はどう感じていますか。
この大会で彼が、数多くのゴールを積み上げてきた、あるいはアシストも含めれば数多くのゴールにからんできたというところは、非常に素晴らしいことです。天皇杯のゲームで結果が出始めたというだけであって、成長というものでいうと、本当に、三歩進んで二歩下がるような、走れば兎みたいに速いのですが、亀のようなスピードで成長してきてくれたなと思います。
毎日居残りで、コーチが付きっきりでトレーニングをしていて、まず足回りの技術が飛躍的に高まってきた。それが今年、彼の一番の成長だと思っています。それがあるから、顔が上がる、相手と駆け引きができる、チームの中での動きというものにタッチしてくる、そういう好循環が今は生まれていると思います。
実際に今日は、対峙した相手が代表クラスの選手でしたから、彼も実際に肌で感じたものがたくさんあると思います。でもやはり、彼に今期待できるものは、逆に言うと、これをどうやって克服していくのだろうという伸びしろしか感じないので、おそらくこの悔しさを持って、しっかり、真摯にトレーニングに取り組めば、もっともっと、素晴らしい選手に成長してくれるのかなと思います。なので、明日にでもまた集めて、練習させたいと思います。
■今の渡邉さんの話を聞いていて、私もこの5年間を高く評価しています。それでも足りない部分がある、3つのタイトルのうち1つでも取る、というのはまだまだ早いのではないかということですが、今日のようなゲームをできればと思います。イビチャ・オシム氏がジェフの監督に就任したときに「この選手でよくここまでなった」というようなサッカーをしたように、渡邉さんならしてくれるのではないかと期待しています。そういう意味で高みに来ていると思いますが、そのあたり、斜に構えるのではなく、本心から伸びているところを話していただけますか。
伸びています。間違いなく、選手もチームも成長しているし、やれることが増えていますし、特に今日のゲームなんかは、選手もやっていて楽しかったと思います。私は、やっている選手が楽しくなければ、見ている人も楽しくないと思っているので、いろいろな考え方の監督がいるとは思いますけれども、やはりそういうものを追求した先に、勝利があると考えています。
そういうものを思えば、本当に、成長をしているとは思います。でも、このクラブの歴史を振り返ると、私自身、クラブへの在籍も長いので、やはり東日本大震災以降、リーグ戦で(2011年に)4位になって、(2012年に)2位になって、ACLに行ったという歴史がありますから、見ている人もサポーターも、満足していないと思うのです。勿論、いろいろなことを冷静に考えれば、まだ早いよというのも本音だと思うのですが、一度ACLに行ったという歴史を振り返れば、やはりもう一度、という思いが出てくるのも当たり前ですし、今日、こうやって悔しさを味わえば、また来年にもう一度、という思いをみんなが持つと思います。
でも逆に言うと、そういうような現場だけでなく、周りの人の想いとかエネルギーがどんどん高まってくると、チームだけでなくクラブとして、あるいは仙台、宮城、東北という地域として、いろいろなものがレベルアップしてくると思うので、ここで私がリーグ戦で残留すればいいよとか、天皇杯は去年1戦目で負けたから2回戦突破でいいよとかいう話にしてしまうと、やはり付いてきてくれる人も付いてきてくれないと思います。
勿論、多少は背伸びしているところもありますけれども、それを言って実現してこそ男だと思うので、そこの目線を下げずに、今の選手の成長と一緒に、そこを突き破って、今度こそはメダルなりカップなりをしっかりと持って、この舞台に、この会見場に、戻ってきたいと思います。