2017 明治安田J1 第1節 北海道コンサドーレ札幌
お疲れさまでした。久しぶりのゲームということで、選手もおそらく多少の緊張感と期待感というものが心の中にありながら、このゲームを迎えたのではないかなと思っています。
選手にミーティングで話したのは、「その期待感だとか緊張感だとかいうものを、フレッシュさに変えて今日のゲームに臨んでほしい。その気持ちがみんなの躍動感につながる」というような話をしました。間違いなく難しいゲームになるというものは予想していましたし、実際に90分を通してそのようなかたちになったと思います。
立ち上がりのチャンスで決めていれば、とか、そういうような思いも多少よぎるのですけれども、やはりそれはサッカーですから、その後にしっかりと、まずは守備においても相手に隙を与えない、あるいは粘り強くボールを動かしたことで、最後にああいうようなかたちでチャンスが生まれてきて、ナオ(石原直樹)がしっかり決めてくれたのではないかと思っています。
我々は36日間の長いキャンプを終えて仙台に戻ってきて、さあ、いよいよ、というようなところだったのですけれども、開幕戦のピッチに立てるのは11人だけで、メンバーを入れても18人だけだと。だから、このピッチに立つ選手は、けがで苦しんでいる者、あるいはベンチには入れなかった者の思いをしっかり背負って戦おうと、あるいは今日集まってくれるサポーターの思いだとか、まだまだ被災地で難しい状況にある方々の思いだとか、そういうものもしっかり背負って戦おうということも話をしました。
そういった気迫だとか、粘り強さだとか、そういうものもしっかりと今日は表現できたのではないかと思っています。
巷では、やれ3-4-3だ、というところで話題に上がっていますけれども、まずは戦う原点でそういうものをしっかり見せないと、そもそも戦術だ、技術だというものは乗っかってきませんので、もちろんその戦術的な部分での修正ポイントはたくさんあるのですけれども、今日はそういった、まずはしっかりと戦った選手というものを評価して、この次のゲームにつなげていきたいと思っています。
■ 仙台で初ゴールを決めた石原選手の評価をお願いします。
キャンプの時から、このシステムでやり慣れている部分があるので、彼の動き出しをしっかり見逃さずに、周りがまずナオをしっかり探そうと。あるいは、受け手の部分でも彼の動き出しに合わせて、違う選手が動き出せるようにしましょうというところを、根気よくやってきたつもりです。
前半は本当にシンプルに裏を取れていたので、そういったところで相手を押しこめましたし、前半に一本、後は後半に相手のミス絡みで一本、それ以外にもチャンスがあったとは思います。実際にそれを仕留めていれば、というものも、先程申し上げたとおりあるのですけれども、ナオ自身も粘り強くやっていれば、最後にああやってチャンスは来ますよねと、先程話しもしてくれましたので、そういう意味でも、チームとして粘り強くやった結果かなと思っています。
もともと素晴らしい才能を持った選手で、ここ数年はけがで苦しんでいましたけれども、その悔しさを仙台で晴らそうというかたちで呼び込んだ人間ですから、開幕のこのゴールというもので彼自身もまた前向きにやってくれると思いますし、チームにとっても本当に大きなゴールをもたらしてくれたと思います。
■ かなり中盤で主導権を握りながらゲームができたと思いますが、攻撃面での手応えと、あとは三田選手がゲームを通じて80回はボールを受けていたと思うのですが、三田選手の評価をお願いします。
おっしゃったように、我々がボールを握る時間が非常に長かったと思います。相手の立ち位置によって、我々も少し立ち位置を変えて、よりボールを動かしやすくする、あるいはアタッキングサードに入っていくということもやっていたのですが、今日は本当に選手の判断で、いろいろ立ち位置を変えながら札幌さんの守備の組織をずらしていくという作業というものは、粘り強くやってくれたと思います。
実際に、前半は効果的かどうかというと、あまり効果的ではなかったという感じは私はしていて、ベンチでもそういう話をしていて、じゃあそれをより効果的にやるにはどうしようかということを実はハーフタイムに少し具体的に指示を与えて、それこそ三田の立ち位置を少し変えました。
それによって、相手も少しずれてきたものが生じたのかなと思います。おっしゃったように、タマ(三田)がたくさん(ボールに)触ったということが数字に残っているのでしょうけれど、もっともっといい状態でボールを引き出せたシーンもあったとは思うのです。それはタマが、出し手と自分との関係だけではなくて、三人目に対して前向きに潜っていけるシーンを作れると、我々も前進できますし、彼の良さも当然もっともっと出ると思うので、そのあたりはタマ自身もそうですし、チーム全体もそのいった狙いをもう少し共有できるあるいは探せるといったところはやっていかなければいけないと思いました。
■ 開幕戦で、ルーキーでスタメンの永戸選手の評価をお願いします。
よく頑張ったと思います。全然緊張していなさそうな顔をしていたので本当に大丈夫かなと思ったのですけれども、特に何かこれをやってこい、というような具体的な指示は一切出しませんでした。とにかく思い切ってやれ、というような話だけをして送り出したのですけれども、攻撃の面で、しかけもたくさんしてくれましたし、ロングスローも何本か披露してくれましたし、非常にポジティブな姿勢だったと思います。
実際に、90分やりきれそうなフィジカル面での余力もありましたから、また彼もこの一戦で成長したと思いますし、自信になったと思います。もちろん細かいところを見れば、もっともっといい位置でボールを引き出す、あるいはボールの置き所をもっともっとよくすることで、前の選手も助けられますし、チーム全体としても前進できますし、そういうような細かいところは修正したいと思うのですが、まずひとつこれを乗り越えて、これを自信にして、また次にタフにやってくれればと思います。
■ 永戸選手から増嶋選手に交代した意図を教えてください。
守備固めです。多少相手もパワープレー気味にどんどんボールを放りこんでくるというものには事前に準備をしていましたし、二日前の紅白戦でも同じかたちを実際に試しました。そのようなシチュエーションになってきたと思いましたので、マス(増嶋)を入れて、彼のコーチングと、周りを引き締める彼の能力というものを期待しましたし、実際にそのようなかたちで、彼がいいゲームの締め方をしてくれたと思います。
■ ボールを持てているときにアタッキングサードになかなか入れなかった中で、全体的にどういう動きが不足していたと考えますか。
相手の3ボランチの出方をどうやって察知できるかで、前向きに前進してプレーできるか、それをやれると、おそらく相手の5枚のうちの1枚、2枚がずれてくるので、その間のギャップを突きましょうというところの、整理をハーフタイムで実際しました。
そこに対して、もちろん、たとえばシャドーが降りてきたり、ボランチが降りてきてボールを引き出したりできれば、ボールを握れるのですけれども、ただし前進はできないと。そういったもののの、これも90分をとおしてのゲームのコントロールなのですけれども、前半はそれに多分選手も割り切って終始したのだと思います。だからこそ、相手の2トップあるいは3ボランチが疲弊してきて、ちょっとした隙がまた後半に生まれてきた思いますし、もちろん前半からもっともっとアタッキングサードに入れれば、理想としてはいいのですけれども、今日のゲームに関しては、選手が粘り強くそこをやり通してくれたと思います。
でも、立ち上がりの10分くらいは、シンプルに裏を取れていたシーンはたくさんありましたから、それは決して見過ごすことはできないかと思います。ボールを100本つないでも点にはなりませんけれども、1本のパスでシュートまでいければ、それは素晴らしいことですから、そういったところをしっかり見ていたということも、評価したいですし、結果的に先程申し上げたとおり、90分をとおしてその出し入れの中で、相手の隙をより大きくしていったのかなと感じています。