第34節 FC東京
<総括>
まず、先週のホーム(ゲーム)からの修正点として、アグレッシブに、インテンシティ高くゲームをすることは継続してやると。同時に、アグレッシブさの中での慎重さ、パスを出すタイミング、ポジショニング、そういったところを高められれば東京の出てくるサイドバックの背後は突いていけるんだと。
前半の入り方ではそういったアグレッシブさ、そして修正点からきたうまい崩し、柳沢の起点、佐々木と太田のサイドを突く攻撃というのは、前半から示せていたのですが、後半に先制点を許したことで、またそのへんの攻撃が少し慌てだして、攻撃の精度が落ちてきました。
今日の前半の、FC東京のできを見れば、我々の方がゲームを優位に進めているなかでの、痛すぎる失点だったな、と。それでもまだ1点は跳ね返せるだろうな、という攻撃が、最後に実を結ばなかったということです。それで、どんどんチームもリスクを冒して、2点目を取られたのですけれども、ルーカスの引退試合に花を添えるかたちになったと。
この敗戦の悔しさは天皇杯ですかさず晴らしたいし、来季からの自分のキャリアに対して、この悔しさを持って、より勝利への厳しさを育んで進んでいかなければいけません。
あとひとつ、去年に引き続いて、味スタにこれだけの仙台サポーターが来てくれたということに対しては、本当に感激しているし、試合前にも選手たちに話しました。「たとえ順位が下だろうが、今日のゲームは失うものはない。だけれども、失ってはいけないものは、我々の誇りだ。その誇りをサポーターは持ってきてくれた。一緒に戦ってくれた」と。
今日の勝利を届けることはできませんでしたけれど、今シーズンに下位に甘んじたシーズンだけれど、最終節に敵地にこれだけ集まってくれたサポーター、そしてこの勝利を届けようとしてくれた選手たち、仙台の本当の絆というところが、今年の順位で確認できた。これは大きな成果だったんじゃないかと思います。
本当に、こういった光景を見ると、ベガルタを去ることに、本当に後ろ髪を引かれる気分にもなりますけれども、このスタイル、「仙台スタイル」を継続していければ、必ずベガルタ仙台は東北のシンボルになれると信じています。
■13位に終わったことについての感想と、得点力が足りなかったことについてどう思われますか。
まず、得点力は、高めようとして今年に掲げてきた「ボールを握る」という部分に対して、確かに握れるようになってきたのですが、握れたからといってフィニッシュでの精度が高くなったわけではないことに対して、攻撃についてはやり続けなければいけない部分、攻撃と守備のバランスをもう少し考えながら、もちろん、戦ってこられていれば、現実的に順位も維持もしくは向上できなかったかもしれません。自分の中では、五輪代表の監督に就任することになってから、やはり今年にやろうとしてきたことを最後までやり続けようと、これでだめなのではなくて、足りないもの、高めなければいけないという、向上心に火をつけられたことは、おそらく来年につなげられると思っています。
私が就任してからは、J1のリーグ戦では14位、4位、2位、最後は13位というかたちで終わったことに対して、2013年に13位だったと。ただ、一度悔しい思いをしたチームは必ず這い上がれると。自分が率いた仙台はそうでした。J1での初年度での14位という悔しさが実を結んで4位、2位と躍進できました。ずっと上位にい続けられるチームではないけれども、その悔しさをバネにしてジャンプアップできるはずだと思っているし、これから強豪クラブになるため、ひとつ膝を曲げたのだと思います。そうなるように期待しています。
■前半にいいかたちに持ちこめましたが、今日は点が入らなかったのは相手のGKが良かったこともあるのでしょうか。
まず、チャンスで確かに塩田選手にセーブされていた部分はありました。FC東京も有終の美を飾りたいという同じ思いで、ルーカス選手の引退試合で送り出したいという思いが、塩田選手には乗り移ったのではないかと。それをこじ開けることで、我々は真の力を掴めることになります。今日はつかめませんでしたが、今日の度重なるチャンスを演出できたことをポジティブに考えてほしいと思っているし、ゲーム前にも、ミスをしてもとにかくポジティブに取り組もうという姿勢で、選手たちはやりきってくれたと思いますから、やはり(得点)0で終わってしまったことに対して、天皇杯は0では勝ち上がっていけないので、その悔しさは、天皇杯のためには必要だったんだと考えるようにしています。
■天皇杯でまた同じFC東京と対戦することの心境を教えてください。
我々は、今節を迎えることに対して、けが人が相次いで、そのなかでやりくりしたメンバーでした。天皇杯にはけが人がじゅうぶん戻ってこられるということに対しては、また顔色が変わるな、と。だからこそ思い切りやれるし、これはこれ、天皇杯は天皇杯という位置づけで今日は挑ませてもらいました。そうしたらポポヴィッチ監督もメンバーを変えてきました。おそらく彼も「これはこれ、天皇杯は天皇杯」と言いながら、駆け引きは始まっていたのではないかと。
自分達にとっての天皇杯は、ホームでやれるアドバンテージで、リーグ戦3連敗をしてサポーターもやきもきしてくれている力を借りて、ぜひ天皇杯ではFC東京にリベンジしたいと思うし、おそらくポポヴィッチ監督も私も、クラブを離れることに対して、天皇杯に置き土産を置いていきたいという思いは同じだし、今回に土をつけられたぶん、すべてが良い部分に進んでいると自分は思っていますし、ポポヴィッチ監督との対決を楽しみたいと思います。